トルコで金融政策決定会合が開催された。8月に大幅利上げを実施したトルコ中銀の9月会合の結果は。そして、トルコリラの対円での見通しとは
サマリー
- トルコ中銀の会合結果
- トルコリラの動向は引き続きトルコ中銀が鍵を握る
- トルコリラ円の今後の見通し
トルコ中銀の会合結果
トルコ中央銀行が金融政策決定会合を開催した。事前の市場予想通り5％の利上げを実施した（25％⇒30％）。エルカン氏がトルコ中銀総裁に6月に就任して以降、利上げが続いている。特に、ニューヨーク連銀勤務経験のあるエコノミストらを副総裁に迎えた8月会合以降は、市場予想と同じ、もしくは予想を上回る利上げを実施している。
トルコ中銀は、低金利政策を好むエルドアン大統領の意向で、インフレ率と比べて極端に低い政策金利水準が維持されてきたことから、トルコ中銀の信認が低下、トルコリラは主要通貨に対して大幅に下落していた。
トルコ中銀は利上げ実施したものの、通貨トルコリラは、対ドルで下落した。TRYは対ドルで、8月の金融政策決定会合前の水準近くまで下落している。FOMCを受けて投資家のセンチメントが悪化していたことに加え、投資家がトルコ中銀の金融政策に対して、依然として不信感を抱いていることが背景にあろう。
米ドル/トルコリラ 日足チャート
資料：Trading ViewよりDaily FXが作成。
エルカン氏が中銀総裁に就任して以降も、TRYの下落に歯止めがかかっていないものの、トルコ中銀の利上げ、金融引き締めへの方針転換が市場で信認を得るにつれて、トルコリラが今までの下落を取り戻す可能性がある。トルコ中銀が市場の信認を得るためには、引き続きインフレ抑制のために高い政策金利を維持できるかどうかが鍵である。
資料：Trading EconomicsよりDaily FXが作成。
トルコリラ/日本円の見通し
TRYJPYは、5.50レベルがレジスタンスとして機能しており、上値が重い展開が続いている。トルコ中銀の金融政策会合を通過し、投資家のリスクセンチメントに大きな影響を持つFRBの金融政策不透明感が高まっている中、トルコリラがレジスタンスである5.50レベルを超えて上昇することは見込みづらい。
TRYJPYはドル円の動向にも強く影響を受ける。ドル高円安が進展する中、日本当局によるドル売り円買い介入に対する警戒感が強まっている。為替介入に対する警戒感からドル安円高が進行した場合、トルコリラ円も下落（TRY安JPY高）しよう。その場合、8月24日安値5.247レベルへ下落する可能性がある。
TRYJPY日足チャート
資料：Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
