テクニカル指標は一般的にトレンド系とオシレーター系で分類されますが、勝率を高めるためにぜひ覚えておきたいのが、先行指標と遅行指標の存在です。先行指標は相場よりも先行し、遅行指標は相場よりもやや遅れる傾向にあり、どちらがおすすめなのかは、個人の判断によります。今回は、それぞれの違いや利点・デメリットなどを見ていきます。
先行指標と遅行指標
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遅行指標とは過去の値動きの平均値から算出される指標で、エントリー・エグジットのシグナルとして使われています。先行指標もまた過去の値動きや平均値が基になっていますが、将来の値動きを予測する性質を持ちます。当然ながら、先行指標と遅行指標の間でジレンマに陥るトレーダーも多く、どららを選ぶべきか悩んでしまうものです。どちらを使うべきかの答えは最終的には個人の判断となるため、それぞれの指標の利点とデメリットを理解しておく必要があります。
ちなみに、先行指標とはleading indicator(先行するインジケーター)のことで、リーディング・インジケーター、リーディング指標とも呼ばれています。
遅行指標とは、lagging indicator(遅行するインジケーター)を指し、ラギング・インジケーター、ラギング指標とも呼ばれています。
テクニカル指標の種類としての先行指標と遅行指標の違いは?
まずは、シグナルが遅れがちだといわれる遅行指標の方から見ていきましょう。
遅行指標
あまり聞きなれない指標かもしれませんが、遅行指標は移動平均線やRSIなどで意外と多くのトレーダーに使われています。過去の値動きから平均値を割り出すのが、遅行指標の大きな特徴です。その名称通り、リアルタイムの相場の値動きからやや遅れる傾向にあります。そのためシグナルが出る前に、トレーダーはトレンド転換や価格高騰を目にすることになりがちです。
つまり、シグナルが出た時にはすでに遅しの局面も多く、慌ててエントリーした時には最初の大半の利益を取りこぼすことになります。
しかしながら、確実な売買シグナルを得る方法として、遅行指標を目安にするトレーダーは結構多いようです。取りこぼした利益は、確実なエントリーのためのコストであり、必要経費とも考えられています。
一方で、遅行指標に従ってエントリーするのを差し控えるトレーダーもいます。せっかくのトレード機会を逃すのは、理にかなわないとする考え方もあるのです。
代表的な遅行指標には、以下のようなものがあります。
- 移動平均収束拡散手法(MACD)
- 単純移動平均線(SMA)
- ストキャスティクス
- 相対力指数(RSI)
遅行指標についての詳細は、こちらの記事をご覧ください:テクニカル指標の種類|遅行指標とは?おすすめの使い方をプロが解説
先行指標
先行指標は、将来の値動きを予測することを目的に、過去の値動きをデータとして取り入れた指標です。相場の先の動きが予測可能で、リアルタイムの価格動向よりも先行しているため、早期でのエントリーが実現しやすくなります。
つまり、最初からトレンド転換や価格高騰の波に乗れるということです。フィボナッチやサポート・レジスタンスラインがこれにあたります。先行しているという点で、先行指標の方が有利のように思えますが、デメリットもあるのです。
先行指標のデメリットは、実際に大きな値動きが始まる前にエントリーするため、マーケットが逆方向に動くリスクがあるという点です。結果としてダマシのブレイクアウトだったり、トレンド反転のサインと思われたものが、次の段階へ進む前の小さな戻しであったりすることは、決して珍しくはないのです。
一般的な先行指標は、以下のとおりです。
- フィボナッチ・リトレースメント
- サポートラインとレジスタンスライン
- クライアントセンチメント(IGクライアントセンチメント)
先行指標についての詳細は、こちらの記事をご覧ください:テクニカル指標の種類|先行指標とは?おすすめの使い方をプロが解説
先行指標 vs 遅行指標:メリットとデメリット
ここまで見てきたように、先行指標と遅行指標とどちらの方がおすすめなのかは一概には言えないようです。それぞれの指標の利点とデメリットを下記にまとめています。先行指標か遅行指標か、判断に悩んだ時のキーポイントとして参考にしてみて下さい。
先行指標のメリット
- 将来の相場の動きを予測した先行指標にて有利なエントリーポイントが得られる。フルレンジで利益が狙いやすい。
- エグジットの目安となる価格水準も提示してくれるため、高効率のトレードが実現しやすくなる。
先行指標のデメリット
- シグナルが提示する相場予想は、あくまでも予想であって保証はされない。その時々の状況において、指標を参考にしつつも、トレーダー自身の知識・経験を適用する必要がある。
- 先行指標では、エリオット波動理論などの先進的に優れたテクニカル分析が主流となり、スキルを要するものも少なくないため、初心者には扱いづらいかもしれない。
遅行指標のメリット
- 過去のプライスアクションから直近の値動きまでが考慮されているため、慎重なエントリーポイントが計れる。
- 相場の逆行やブレイクのダマシが回避できるため、損失リスクが低減する。
遅行指標のデメリット
- シグナルが確認できるのを待つ間に、すでに一定以上の値動きが生じているため、利益を取りこぼす結果となりがち。
- 遅行指標では、エグジットの目安が早期で提示されないことも多い。トレーダーは、ターゲット価格を他の方法で探る必要がある。
FXでは先行指標と遅行指標のどちらのテクニカル指標がおすすめ?
先行指標にしても、遅行指標にしても優れたテクニカル指標は幾多とありますが、完璧な指標は存在しません。指標はその性質上、可能性として相場を読むために役立つものであり、100%確実というわけでないのです。先のことは誰にも分からないということです。だからこそ、勝率を少しでも高めるために徹底的な分析を学んでいくのです。学ぶ・学ばないを決めるのは、トレーダー次第です。
ではここで、どうやって分析していくのか、例を詳しく見てみましょう。以下のチャートは、ユーロ/米ドルで先行指標と遅行指標を使った例です。一見したところ、先行指標はより優れたシグナルを提示しているかのように見えます。しかし、遅行指標も同様に重要なシグナルを発しているのです。あくまでも参考例として、どういうことなのかを解説していきます。
相場は激しく売られた後、大きく戻してフィボナッチの重要なレベル61.8%の水準となりました。単純移動平均線(21、55、200)を見た場合、青の短期線(21)は、黒の中期線(55)の下にクロスして抜けていないため、この遅行指標では、まだショートシグナルは出ていません。そこで、先行指標となる61.8%を上に抜けるなら、上昇が継続すると見ることもできます。
しかし、結果として相場は下に向かい、その後の分析から、200SMA(200日移動平均線)を上に抜けきれていなかったことがわかりました。これは、200SMAが長期的な視野で、いかに優れた指標であるかの裏付けでもあります。まさに、長期トレンドにおけるレジスタンスラインとして機能しているのです。この例では、ユーロ/米ドルが61.8%から反転した時に、ショートのサインだと見るトレーダーの読みを、遅行指標のSMAが実証したかたちとなっています。
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短期でシグナルを探すトレーダーは先行指標を重視しがちですが、遅行指標の設定期間を短くし反応性を高めることもできます。ただ、先行指標を重視する場合は常に、マーケットが反対の方向に動いたときに備え、狭めのストップロスを設定すべきです。
より確実に、高い信頼性を求めるトレーダーは遅行指標を好みます。多くの場合、長期の時間軸でトレードし、比較的に遅いタイミングでエントリーした後、モメンタムの流れに乗って利益を狙います。堅実なリスクマネジメントを遅行指標にて実行しているわけです。
テクニカル指標でよくある質問
もし、先行指標が予測される動きを先行して提示するとすれば、当然それは遅行指標よりも優れているということですか?
これは、大きな値動きが出始めたら即あやかりたい、と思うトレーダーの誰もが陥りがちな落とし穴です。先行指標は可能性として値動きを予測しますが、それは絶対に確かだとは言えないことを理解する必要があります。トレードを確定、または思い直すためには、さらなるトレンド分析、センチメントやモメンタム分析が役立つでしょう。
どの移動平均線の組み合わせが最も効果的ですか?
繰り返しになりますが、最終的には個人の見解・判断によります。最も人気のある移動平均線には20、50、100、200がありますが、21、55、100、200とフィボナッチの代替えでも使えます。期間21の移動平均線は、期間55と組み合わせることで、より迅速にシグナルを出す指標となり得ます。さらに市場のトレンド分析でよく使われる期間100、200と組み合わせれば、頻繁にシグナルが得られるでしょう。
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