FXで継続して利益を得るためには、相場を分析し、今後の値動きを予測することが必須です。
相場分析方法にはさまざまな手法がありますが、プライスアクションはそのうちの1つ。プライスアクションはマーケットの値動き(プライス)そのものに注目して、今後の値動きを予測します。
プライスアクションをマスターすれば勝率の高いトレードができるようになるだけでなく、ダマシも避けられるようになります。
本稿では、プライスアクションの概要やプライスアクションにおけるローソク足のパターン、実際のトレードでの使い方も解説しています。ぜひプライスアクションについて知識を深めてください。
FXにおけるプライスアクションとは?
プライスアクションとは、マーケットの値動き(プライス)そのものに注目する相場分析方法です。具体的には、ローソク足や複数のローソク足を組み合わせたパターンを使って相場を分析します。
さまざまなトレーダーの思惑により、値動きは形成されています。プライスアクションで値動きそのものを分析することで、相場状況だけでなく、チャートからトレーダーの心理状況も読み取れるのです。
特徴的なプライスアクションチャート:
![](https://a.c-dn.net/b/2KYcTe/Picture1.jpg)
出所:IG証券
プライスアクションと各手法の違い
FXにおける分析方法には、プライスアクション以外にもさまざまな手法があります。ここではプライスアクションと以下の分析手法との違いを解説します。
- インジケーターとの違い
- 酒田五法との違い
インジケーターとの違い
インジケーターとは、FXのチャート上や下に表示できる、相場分析の補助ツールです。代表的なインジケーターには「移動平均線」や「ボリンジャーバンド」、「一目均衡表」などがあります。
ローソク足を重視するプライスアクションとは違い、インジケーターを使った相場分析では、インジケーターが示す売買サインを重視します。インジケーターは、相場状況を視覚的に分かりやすく分析できるので、FX初心者にもおすすめの分析手法です。
しかしインジケーターが示すサインは過去のチャートの値動きによって決まるので、売買サインが少し遅れてしまうことがあります。
対してプライスアクションを使った分析では、直近のローソク足の動きを見て次の動きを予測するので、インジケーターと比べて素早い決断を求められます。しかし使いこなせるようになれば、相場状況をより正確、そして素早く分析できるようになるのです。
インジケーターとプライスアクションには、どちらも利用するメリット・デメリットがあります。両方を組み合わせて使用できるとより相場分析力を高められるでしょう。
酒田五法との違い
酒田五法とは、ローソク足の特定の動きをパターン化し、今後の相場動向を予測する手法です。「三山」「三川」「三空」などが代表的なパターンとして知られています。
酒田五法もローソク足に注目した相場分析方法なので、プライスアクションと似ていますが、酒田五法はパターン化したローソク足に注目する点で異なります。
インジケーターと同様、プライスアクションと酒田五法を組み合わせるとより正確に相場を分析できるようになります。
ただし酒田五法は株式投資を前提に作られた手法なので、24時間相場が動くFXのチャートとは相性が悪いパターンがあることには注意しなければいけません。
プライスアクションでローソク足を見る際の基本
プライスアクションは、ローソク足の動きを見て、今後の為替レートの動きを分析するので、使い方は非常にシンプルです。しかしローソク足を見るといっても、何に注目すればよいのは分からないという方もいるでしょう。
プライスアクションにおけるローソク足の見方や、見るべき時間軸について以下で解説します。
ローソク足の見方を覚えよう
プライスアクションを相場分析で利用するなら、まずはローソク足の見方を覚えましょう。ローソク足一本から知ることができる情報は主に、以下の4つです。
- 始値
- 終値
- 安値
- 高値
ローソク足一本を見るだけで、その時間帯における始値と終値、安値、高値を知ることができます。
始値とは、ローソク足の形成期間における始まりの価格、終値とは終わりの価格です。始値より終値が高いローソク足は陽線、終値が低いローソク足は陰線と呼ばれ、陽線だと上昇傾向、陰線だと下落傾向にあると分かります。
そして高値とは、始値から終値が決まるまでの期間における最も高い価格、安値とは最も安い価格です。またローソク足から伸びている線は「ヒゲ」と呼ばれ、ひげから高値・安値を確認できます。ローソク足の上方向に出たヒゲは「上ヒゲ」、下方向に出たヒゲは「下ヒゲ」と呼ばれます。
プライスアクションの基本時間足は「日足」
プライスアクションを使用する際は、日足のローソク足から分析を始めることが基本だと言われています。なぜなら世界中の投資家たちは、前日の日足の終値を見て、次の日にロング(買い)にするのか、それともショート(売り)にするのかを判断しているからです。
特に機関投資家のような大きなお金を動かす投資家ほど、前日のプライスアクションを見て相場に参入することも多いのです。時間足や分足など、より短い時間軸でプライスアクションを使用することも可能ですが、素早い判断が必要となるので、少し慣れが必要となります。
プライスアクションの種類
プライスアクションで利用するローソク足にはいくつかのパターンがあります。ここでは、以下の代表的な7種類のパターンについて解説します。
- スラストアップ・スラストダウン
- ランウェイアップ・ランウェイダウン
- リバーサルハイ・リバーサルロー
- ピンバー
- インサイドバー・アウトサイドバー
- フェイクセットアップ
- フォールスブレイクアウト
スラストアップ・スラストダウン
スラストアップとスラストダウンは、トレンドの方向性を確認する時に役立つローソク足のパターンです。
スラストアップとは、前日のローソク足の高値よりも当日のローソク足の終値が高くなるパターンで、相場が上昇傾向にあることを表しています。
一方、スラストダウンとは前日のローソク足の安値より当日のローソク足の終値が低くなるパターンで、相場が下落傾向にあることを表します。
またスラストアップ(ダウン)が連続で発生している時は、より強いトレンドサインです。
ランウェイアップ・ランウェイダウン
ランウェイアップとランウェイダウンは、トレンド途中に発生するローソク足のパターンです。
上昇トレンドを表すランウェイアップを形成するには、次の2つの条件を満たさなければいけません。
- ローソク足の高値が過去n本の高値を越えている
- 次のn本のローソク足の安値が起点とするローソク足の安値を下回っていない
下降トレンドのサインとなるランウェイダウンの条件は、ランウェイアップの逆です。
- ローソク足の安値が過去n本の安値を下回っている
- 次のn本のローソク足の高値が起点とするローソク足の高値を上回っていない
一般的に過去5本のローソク足を使って、ランウェイアップとランウェイダウンは判断されます。
リバーサルハイ・リバーサルロー
リバーサルハイとリバーサルローは、トレンド転換を表すローソク足のパターンです。
リバーサルハイとは、上昇トレンドの反転のサインです。ローソク足が高値を更新し続けている時に、直前のローソク足を大きく下回る終値のローソクが発生すると、上昇トレンドが弱まっていることがわかります。
一方、リバーサルローは下落トレンドの反転のサインです。ローソク足が安値を更新し続けている時に、直前のローソク足を大きく上回る終値のローソク足が発生すると、下降トレンドは一旦終了したと判断できます。
ピンバー
ピンバーは、強いトレンド転換を表すローソク足です。ローソク足における実体部分の約3倍以上の長さを持つヒゲが出ている状態がピンバーと呼ばれます。
ローソク足の実体が短く、ヒゲが極端に長いということは、一度ヒゲの方向へ向けて為替レートが大きく伸びたものの、トレンド維持ができなかったことを意味しています。
特にピンバーが何度も発生している場合は、トレンド転換、もしくは相場が停滞していると判断して、ポジションの決済を行うようにしましょう。
インサイドバー・アウトサイドバー
インサイドバーとアウトサイバーは、レンジ相場やトレンド発生の直前に形成されるローソク足のパターンです。
インサイドバーでは、1つのローソク足に収まるように、後のローソク足が形成されます。インサイドバーが発生するということは、値動きが徐々に小さくなっており、トレンドレスの状態が続いていることがわかります。ローソク足の高値・安値をブレイクすると、その方向に向かって大きくレートが動く傾向にあります。
アウトサイドバーとは、直前のローソク足を包み込むように、のちのローソク足が拡大して形成されるパターンであり、ショートとロングが拮抗している状態を表します。アウトサイドバーもインサイドバーと同様、高値・安値をブレイクするとその方向に向けて大きく為替レートが変動しやすくなります。
よって、インサイドバーとアウトサイドバーの状態では、高値・安値をブレイクするまでエントリーを待つようにしましょう。
フェイクセットアップ
フェイクセットアップは、レンジ相場のブレイクに失敗した時に発生するローソク足のパターンです。
一般的なレンジ相場では、相場価格がレンジの高値や安値をブレイクするとその方向にレートが大きく動きます。しかしフェイクセットアップでは、レンジ相場を1度ブレイクしたのにもかかわらず、価格が反転してブレイクとは逆方向にレートが動いていきます。
フェイクセットアップのようなプライスアクションは「ダマシ」と呼ばれ、FXではよく発生するので注意しなければいけません。
フォールスブレイクアウト
フォールスブレイクアウトは、サポートラインやレジスタンスラインのブレイクを失敗した時に発生するローソク足のパターンです。
フォールスブレイクアウトでは、過去の安値もしくは高値を更新したもののヒゲをつけてブレイクが失敗し、相場価格は逆方向に動いていきます。
フォールスブレイクアウトもフェイクセットアップ同様、「ダマシ」と呼ばれるプライスアクションの1つです。
プライスアクションを使った取引の注意点
プライスアクションを取引で使う際には、以下の2つの点に注意しましょう。
- プライスアクションで取引しても失敗する可能性がある
- プライスアクションではダマシが発生することがある
プライスアクションで取引しても失敗する可能性がある
プライスアクションのパターン通りに取引をしたとしても、失敗する可能性があります。
プライスアクションは、あくまで価格がそのような動きをする可能性が高いというだけで、確実にその通りに動くとは限りません。時には為替レートがプライスアクションの売買サインとは異なる動きをすることもあります。
もしもプライスアクション通りにレートが動かなかった場合は、いち早くポジションを損切りしましょう。たとえ一度や二度失敗したとしても、素早く損切りをして損失を最小限に抑えれば問題ありません。損失を小さくし、利益を大きくして損小利大のトレードを繰り返しましょう。
プライスアクションではダマシが発生することがある
プライスアクションを使っていると、トレーダーを騙すような動き「ダマシ」が発生することもあるので注意しましょう。
ダマシを回避するには、プライスアクションに加えてインジケーターや、複数の時間軸のプライスアクションを組み合わせると良いでしょう。複数の分析方法を組み合わせることで、多角的な判断ができるようになり、ダマシに引っかかるリスクを下げられます。
またプライスアクションの中には、フェイクセットアップやフォールスブレイクアウトのような、ブレイクの失敗(ダマシ)を前提としているものもあります。ダマシに引っかかると、損失につながる恐れもあるので、常に念頭におきつつリスク管理をしっかりと行いしましょう。
プライスアクションとテクニカル指標を組み合わせた手法
プライスアクションとテクニカル指標を組み合わせた手法の手順は以下の通りです。
- テクニカル指標でトレンド相場かレンジ相場かを見極める
- トレンドが確認できたら、トレンドの方向のエントリー場所を探す
- エントリー場所でトレンド方向に合ったプライスアクションが発生したらエントリー
まずはトレンド相場なのかレンジ相場なのかを確認しなければなりません。相場のトレンド状況を把握するために利用できるのが、トレンドラインやトレンド系のインジケーターなどのテクニカル指標です。テクニカル指標でトレンドが確認できたら、トレンドの方向でエントリーシグナルを探します。
そしてエントリーシグナルの発見に役立つのがプライスアクションです。目星をつけたエントリー場所でトレンド方向に合ったプライスアクションが発生したことを確認して、実際にエントリーを行います。
それでは実際のチャートを使って見ていきましょう。
USD/ZARプライスアクションの例:
![](https://a.c-dn.net/b/2IjN13/Picture2.png)
上記はUSD/ZARのチャートです。
トレンドの押し目を結んだ上昇トレンドのライン(青の線)が、サポートラインとして機能していることが分かります。また20日、50日、200日の移動平均線を追加してみると、相場価格がすべての移動平均線の上側に価格があることからも上昇トレンドであると確認できました。
したがって、上昇トレンドのラインや移動平均線付近での押し目買いを狙うことになります。そこでプライスアクションを使います。先ほど見つけたエントリー場所で、リバーサルローや下ヒゲのピンバーなど強い買いサインのプライスアクションを確認したら、ロングエントリーを行います。
またこのチャートにはストキャスティクスも表示しています。ストキャスティクスが売られ過ぎゾーンにほとんど入っていることからも、買いエントリーが成功しやすいと判断できます。
プライスアクションに関する疑問
プライスアクションをFXで使用するにあたって、よくある疑問点について解説します。プライスアクションをトレードで取り入れようと考えている方は、是非参考にしてください。
プライスアクションはバイナリーオプションでも活用できる?
プライスアクションは、ローソク足を見て次の価格の動きを予測する分析方法なので、チャートを利用するバイナリーオプションでも活用できます。
FXと違い、バイナリーオプションでは、時間の予測もしなければなりません。しかしチャートを予測するという根本的な仕組みは変わらないので、プライスアクションのスキルはバイナリーオプションでも役立ちます。
プライスアクションを使ったトレードがうまくいかない原因は?
プライスアクションを使ったトレードがうまくいかない1つの原因として、難しい相場でトレードをしている可能性が考えられます。
例えば、インサイドバーやアウトサイドバーが発生している時はレンジ相場になりやすく価格予測が難しくなります。プライスアクションを使う際は、まずはスラストアップやスラストダウンが発生するトレンド相場で利用してみるとよいでしょう。
またさまざまなプライスアクションのパターンを使うよりも、得意なパターンに絞って慣れていくこともオススメです。
プライスアクションはスキャルピングに活用できる?
プライスアクションは、スキャルピングのような短期取引にも使えます。プライスアクションは、インジケーターを使った分析と比べて、よりリアルタイムで相場を分析できるので、むしろ短期取引に向いているといえるのです。
プライスアクションの鉄板のパターンは?
プライスアクションに酒田五法を組み込む手法が、鉄板パターンの一つとして知られています。
まずは酒田五法のチャートパターンを使って大まかに相場の方向性を確認し、次にプライスアクションでより細かな分析をして売買タイミングを計ります。プライスアクションだけでなく、他の分析方法も組み合わせると、より勝率の高いトレードができるようになるのです。
まとめ
今回はFXにおける相場分析手法の一つ「プライスアクション」について詳しく解説しました。プライスアクションを習得すると、ローソク足からだけでも相場状況やトレーダーの心理を読み取れます。
プライスアクションのローソク足のパターンを覚えたら、ぜひ知識を実践で活かしてみましょう。実際に取引で活用してみることで、プライスアクションの感覚をより掴めるようになります。ただし、為替相場では、ダマシが発生したり、時にはプライスアクションのパターンが完成しなかったりすることもあるので注意しましょう。
精度の高い取引を続けていくためにも、プライスアクションをインジケーターや他の分析手法と組み合わせてみてください。
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