※2024年5月30日更新
FXの取引可能な時間帯には、ロンドン、米国、アジアの3つの主要な時間帯があり、この3つを合わせて24時間取引が行われています。地域ごとの中心市場の特徴や傾向はそれぞれ大きく異なりますが、トレーダーはいつでも有効な戦略を実行できます。
FX市場は全てのアセットクラスの中で最も流動性の高い市場ですが、ボラティリティが一定の時間帯と、そうでない時間帯があります。これらの取引時間帯ごとの違いを理解することで、FXの戦略における信頼性を高められます。
本記事では、FX市場の時間帯別の特徴や注意点、トレード戦略ごとの最適な時間帯を解説します。
FXの取引時間帯とは
FXの市場は、電話やインターネットを用いて世界中で取引されています。ただし、実際に取引所が存在しているわけではなく、その時間帯を中心に取引する銀行が存在しています。そのため、世界各地でいずれかの銀行が取引している限り、FX市場でトレーダーが取引できると言えます。
代表的なFX市場として、以下が挙げられます。
- 東京
- ロンドン
- ニューヨーク
- シドニー
上記の主要都市でFXが常に取引されており、時差によって取引可能な時間帯が移動するため、平日・祝日のほぼ24時間において取引できます。なお、FX業者によって異なりますが、月曜日午前7時前後から土曜日午前6時前後までが一般的な取引時間帯です。ただし、週末は例外で、世界中の金融機関が休業するため、原則として取引できません。
FXの取引時間帯別の特徴
FX市場は、以下3つの時間帯に分かれています。
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これらの取引時間帯は、主要な銀行や機関投資家、個人投資家が活動しているため、FXは非常に機能的でダイナミックなものとなります。各取引時間帯の具体的な時間を把握することで、FXトレーダーは取引戦略を立てられます。
下表は、時間帯と主要市場、時間をまとめたものです。
時間帯 | 主要市場 | 時間(GMT:グリニッジ標準時) |
---|---|---|
米国 | ニューヨーク | 13:00~22:00(日本時間22:00~7:00) |
アジア | 東京 | 00:00~09:00(日本時間9:00~18:00) |
欧州 | ロンドン | 08:00~17:00(日本時間17:00~2:00) |
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続いて、各時間帯の特徴を解説します。
アジアのFXの取引時間帯
ウェリントン・シドニー市場は、世界で最も早く取引が始まるFX市場です。東京市場の開場に先立つ日本時間午前5時頃から取引が始まり、午後3時頃まで続きます。つまり、時差の関係で週末に起きた出来事に最も早く反応する市場と言えます。
しかし、この時間帯は市場参加者が少ないため、以下の2点に注意しましょう。
- 値動きが乏しい:市場参加者が少ないため、大きな値動きは起こりにくい傾向があります。特に、午前5〜8時頃は値動きがあまり発生しない傾向があります。
- スプレッドが広がりやすい:取引量が少ないため、売り値と買い値の価格差(スプレッド)が広がる可能性があります。スプレッドが広がれば取引コストが高くなるため、利益を確保しにくくなります。
加えて、この時間帯は予測不可能な値動きが起きる可能性もあります。FX初心者の方は、ウェリントン・シドニー市場の時間帯での取引は避けた方がよいでしょう。
そして、東京はトレード戦略の策定や今後の市場の動きを測るために、機関投資家の多くが参考にします。世界中で取引されているFXの約6%がアジアの取引時間帯に成立しています。
欧州のFXの取引時間帯
ロンドンは、世界最大かつ最も重要な取引時間帯であり、1日のFXにおける取引量のおよそ34%のシェアを占めています。そのため、世界の大手銀行のほとんどは、取引デスクをロンドンに置いています。ロンドン市場には参加者数が多く、取引が活発なため、ロンドンの取引時間帯は他の2つの時間帯よりもボラティリティが高いことが特徴です。
ロンドン市場では高い流動性が発生し、ユーロ/ドルのような主要通貨ペアの「1時間あたりの平均価格変動」が大幅に増加します。
以下のグラフで、この統計を時間帯別に表してみました。米国東部時間の午前3時(GMT午前8時、日本時間午後5時)から始まる欧州の取引時間帯の取引量が増加していることがわかります。
![グラフ, 折れ線グラフ 自動的に生成された説明](https://a.c-dn.net/b/39lzaC/image3.png)
出所:DailyFX 成功するトレーダーの特長リサーチ(2010~2012)
米国のFXの取引時間帯
ニューヨーク市場は世界第2位の取引市場であり、世界のFX取引量の約16%が行われています。ニューヨーク市場における取引の多くは、米国市場の取引時間と欧州市場の取引時間が重なる時期に発生するため、流動性がなくなり、欧州のトレーダーがFX市場から退出すると、取引は低調になりやすいことが特徴です。
以下のグラフで、米国の取引開始時刻であり、欧州市場の取引時間と米国市場の取引時間が重なっている米国東部時間の午前8時(GMT午後1時、日本時間午後10時)頃の緑の点に注目してください。
![グラフ, 折れ線グラフ 自動的に生成された説明](https://a.c-dn.net/b/39lzaC/image3.png)
出所:DailyFX 成功するトレーダーの特長リサーチ(2010~2012)
平均的な動きは、ロンドン市場が閉まる米国東部時間の午後12時(GMT午後5時、日本時間午前2時、赤い点で表示)頃までさらに大きくなる傾向があります。
FXの取引を控えた方がよい時間帯
ここでは、FXの取引を控えた方がよい時間帯を紹介します。
主要市場が閉じている日本時間午前6時〜7時
日本時間午前6時〜7時は、市場参加者が少ない傾向があります。取引参加者がわずかで流動性が低い場合、取引を避けることが賢明です。流動性とは、取引の容易さを表し、高い流動性ほど望む価格での取引が成立しやすくなります。
逆に、流動性が低い場合は取引が成立しない可能性や、望んだ価格から大きく離れたレートでの取引が発生するかもしれません。また、流動性が低い状況では短期間で急激な資金流入が起こり、市場が大きく変動するリスクもあります。さらに、取引コストであるスプレッドが拡大する恐れもあるでしょう。
年末年始やクリスマスなどの休暇シーズン
クリスマスは、世界中で休日となり、FX市場も原則的に時間帯が短縮、または停止されます。ただし、一部の業者では取引可能な場合があり、その際は値動きが鈍くなったり、スプレッドが広がったりするリスクがあります。また、年末年始も取引参加者が減少するため、思わぬ値動きに見舞われるリスクが高まります。
重要な経済指標の発表前後
各国の経済指標は、その国の景気動向を示す重要な指針です。景気が良ければ通貨が買われ、通貨高になる傾向があり、逆に景気が悪化すれば通貨売りが優勢になるため、通貨安になります。特に、雇用統計やGDP(国内総生産)、消費者物価指数(CPI)などの主要な経済指標の発表時は、為替市場に大きな影響を与えます。
経済指標発表前は投資家や機関投資家が様子見となり、取引を控えるため、取引量が減少します。一方、発表後は指標の良し悪しによって、大きな値動きが起こりやすくなります。予想と異なる数値が出た場合、予想外の値動きが発生する可能性があるでしょう。
【関連記事】経済指標を活用したトレード方法について、詳しくは「経済指標などのニュースを活用したFXの3つのトレード方法を解説!」をご覧ください。
FXのトレードに最適な取引時間帯は?
ここでは、FXのトレードに最適な取引時間帯を取引戦略ごとに紹介します。
レンジ相場の取引を好む場合
DailyFXのデータでは、過去10年間で欧州の通貨ペアは、GMT19時~23時(日本時間4時~8時)の間に取引すると、より大きな成功を収められることがわかっています。この時間帯は米国の取引時間帯の影響をほとんど受けないため、流動性は比較的低くなっています。それゆえに、RSIなどのインジケーターをより活用した狭いボックス圏内での取引戦略が可能になるのです。
サポートで買い、レジスタンスで売る狭いボックス圏内での取引を好むなら、米国の取引時間帯後半からアジアの取引時間帯(GMT午後7時~午前7時、日本時間午前4時~午後4時)にかけて、欧州通貨の取引を検討するとよいでしょう。
ブレイクアウトやトレンド戦略を好む場合
ブレイクアウトやトレンドを好む場合は、欧州市場が取引開始になる時間から、同市場の取引が終了する時間(GMT午前8時~午後5時、日本時間午後5時~午前2時)までに取引を検討することがおすすめです。また、アジア通貨の取引時間帯であるため、アジア通貨(豪ドルやNZドル)を取引することで、ブレイクアウトが得られる可能性もあります。
アジアの取引時間帯で欧州通貨のブレイクアウト取引をしようとしても、それらの通貨の「オフアワー」であるため、市場があまり動かない傾向があり、失敗に終わる可能性があります。
【関連記事】FXの取引時間帯に関するより詳しい説明については、「FXでマルチタイムフレーム分析を使う際のベストな時間足ペアを公開!」をご覧ください。
FXの取引時間帯における注意点
FXの取引時間帯で注意したいポイントを紹介します。
金曜日や月末は相場が動きやすい
金曜日と月末は、以下の理由から値動きが大きくなる傾向があります。
- 金曜日は週明けの変動を避けるため、投資家が決済する
- 毎月第1金曜日は米国雇用統計が発表され、前後で相場が荒れやすい
- 月末は大口投資家がリバランス(資産の比率調整)のため、活発に取引する
取引量の増加で価格変動リスクが高まるため、初心者は特別な理由がない限り取引を控えた方がよいかもしれません。
サマータイムの導入で一時的に時間が変更となる
サマータイム制度とは、太陽が出ている時間が長い季節の間は、国全体の標準時刻を1時間進める制度のことです。欧米などで導入されているため、取引時間や経済指標が発表される時間も1時間早まります。そのため、FX業者の標準時間からサマータイム時間に切り替わるタイミングを確認しておくことが大切です。
FXは社会情勢の動きによって変動する
経済政策の変更や金融政策の転換などにより、政策金利が引き上げられたり引き下げられたりすると、その国の通貨価値が上がったり下がったりします。また、戦争やテロなどの重大事態が発生すると、リスク回避の動きから通貨価値が大きく変動することがあります。例えば、2022年にはロシアのウクライナ侵攻により、ルーブル安が加速しました。
このように、FXの値動きは政策金利の変更や地政学的リスクなど、社会情勢の影響を大きく受けます。FX取引では、こうした要因が起きたタイミングにも注意しなければなりません。
【関連記事】リスク管理について、詳しくは「FXトレードにおける適切なリスク管理の基礎をプロが解説」をご覧ください。
まとめ
FXの取引時間帯によって、相場の動きや流動性は大きく異なります。取引時間帯の特徴を理解し、状況に応じた賢明な取引を心がけることが大切です。
例えば、主要市場がオープンする時間帯は、取引参加者が増えるため流動性が高まり、相場の動きも活発になります。一方、主要市場がクローズしている深夜の時間帯は、取引参加者が少ないため流動性が低下し、相場の値動きが鈍化する傾向にあります。
さらに、金曜日や月末、経済指標発表時などは、特有の要因で相場が荒れやすくなる可能性があるため、十分なリスク管理が不可欠です。
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