メキシコペソは、6月に入り、対ドルで5.6％下落。6月はじめの選挙以降、MXN安が進展したものの、その後、投資家心理の改善に伴い、MXN高に転じている。新政権に対する不透明感が漂う中、28日中央銀行が金融政策決定会合を開催。重要イベントを控えたメキシコペソの対ドル、対円での今後の見通しとは。
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【USD/MXNのターゲット】
上値：9日移動平均線（18.27MXN）
下値①：17.77ペソ
下値②：17.48ペソ
【MXN/JPYのターゲット】
上値①：9.019円
上値②：9.210円
下値：8.752円
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メキシコ中銀会合近付く
6月はじめに実施された大統領選挙の結果、シャインバウム氏が大勝し、政府による国家支配が強まるとの懸念から、メキシコペソ安が進展した。メキシコペソは、6月に入ってから、対ドルで5.6％下落している。主要通貨の中で、コロンビアペソに次ぐ大幅下落である。
ただし、メキシコ中銀総裁が、通貨の極端な変動に対して為替介入を実施する可能性を示唆したことなどを受け、メキシコペソ安に歯止めが掛かっている。また、新大統領が、経財相に企業寄りとみられるエブラルド前外相を起用したことも、新政権に対する不安を和らげ、ペソ高に貢献している。
資料：BloombergよりDailyFXが作成。
このような中、メキシコ中央銀行は、28日に金融政策決定会合を開催する。依然として新政権に対する不透明感がただよう中、メキシコ中銀の金融や為替政策の動向によって、メキシコペソが動く可能性がある。メキシコ中銀は、3月に利下げを実施して以降、政策金利を据え置いている。
中央銀行の金融政策を占う上で重要な消費者物価指数（隔週）が発表された。総合の前年比の伸びは4.8％となり、メキシコ中銀のインフレ目標3％±1％を上回る水準で推移している。インフレ鈍化のペースが落ちていることに加え、ペソ安懸念が台頭している中、メキシコ中銀は、政策金利を据え置き、利下げに慎重なスタンスを示すことを見込む。
資料：BloombergよりDailyFXが作成。
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メキシコペソの不安心理
メキシコペソは、新興国通貨であることから、投資家のリスク選好度合い（センチメント）の影響を受けやすい。6月はじめに実施された選挙結果のように、投資家のリスクセンチメントが悪化した局面では、USD/MXNが大きく変動するとの見方が強まり（インプライドボラティリティが上昇）、メキシコペソ安が進行する傾向がある。
そのため、USD/MXNの変動に対する投資家の思惑は、メキシコペソの動向を見極める上で重要である。メキシコ中央銀行総裁が、為替介入を示唆したことなどを好感し、USD/MXNのインプライドボラティリティが一時と比べ後退、メキシコペソ安からペソ高に反転している。
しかしながら、依然としてUSD/MXNのインプライドボラティリティは選挙前と比べ、高い水準であり、投資家心理の改善に伴い、メキシコペソ高が進展する余地がある。
金融政策決定会合にて、中央銀行が為替介入の可能性など、ペソ安に対して強い警戒を示した場合や、利下げ織り込みが後退した場合、MXNの変動に対する警戒感が一段と低下、メキシコペソ高に貢献する可能性がある。
資料：BloombergよりDailyFXが作成。インプライドボラティリティ（1か月）は、投資家が予想する今後一カ月のUSD/MXNの変動幅。
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USD/MXNの見通し
USD/MXNは、MACDラインがシグナルラインを下抜け、メキシコペソ高（ドル安）トレンドを示唆する「デッドクロス」が示現している。RSIも50前後まで低下しており、メキシコペソに対するモメンタムが弱気から中立まで回復していることを示唆している。
テクニカル面でメキシコペソに強気シグナル（ドルに弱気）が点灯する中、米ドル安メキシコペソ高を見込む。
USD/MXNは、5月後半から6月中旬にかけてのドル高メキシコペソ安の半値戻しの水準である17.77MXNを下方ブレイクできるかに注目。ブレイクに成功すると、ペソ高圧力が一段と強まり、USD/MXNは、フィボナッチリトレースメント61.8％水準17.48MXNへの下落（ドル安ペソ高）が視野に入る。
USD/MXNが上昇（ドル高ペソ安）した場合、9日移動平均線（現在18.27MXN）がレジスタンスとして機能するかに注目。レジスタンスとなった場合、メキシコペソの地合いが強まりつつあることを投資家に印象付けよう。
【USD/MXNのターゲット】
上値：9日移動平均線（18.27MXN）
下値①：17.77ペソ
下値②：17.48ペソ
USD/MXN日足チャート
資料：TradingView
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MXN/JPYの見通し
MXN/JPYは、5月後半からのペソ安円高の半値戻しの水準である8.886円を上方ブレイクし、ペソ高（円安）圧力が強まった可能性がある。また、RSIは50を超え、MXN/JPYのモメンタムが強気に転じた可能性がある。また、MACDラインがシグナルラインを上抜け、メキシコペソ高円安を示唆する「ゴールデンクロス」が示現している。
テクニカル面で強気シグナルが点灯する中、MXN/JPYは、フィボナッチリトレースメント61.8％水準9.019円への上昇が視野に入る。この水準を上方ブレイクすると、メキシコペソ高円安トレンドが一段と鮮明になり、次の上値として、フィボナッチ78.6％水準9.210円へ上昇する可能性がある。
MXN/JPYが下落した場合、フィボナッチ38.2％水準8.752円でサポートされるかに注目。サポートされた場合、メキシコペソの地合いが強いことを投資家に印象付けよう。
【MXN/JPYのターゲット】
上値①：9.019円
上値②：9.210円
下値：8.752円
MXN/JPY日足チャート
資料：TradingView
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
