※2024年6月6日11時27分更新
カナダ中銀は5日、インフレ率が目標範囲に落ち着く中、政策金利を4.75%に引き下げた。これを受け、カナダドルは失速。さらに、予想を上回る米経済指標がカナダドルの売りを強めた。今後の見通しとは？
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0.25％引き下げも、BOCは先行きインフレに警戒
カナダ銀行（BOC、中央銀行）は5日の会合で、インフレ率が低下しているとの確信が強まったとして、5％から4.75％への利下げを決定した。BOCは、消費者物価指数（CPI）が低下傾向にあることを示す兆候の1つとして、コアインフレ率の3カ月間の指標が低下したことを強調したが、ティフ・マックレムBOC総裁は同時に、今後の進展がスムーズにいかないリスクは残っているとの警告も発した。インフレ見通しに対する主なリスクは、賃金上昇ペースの加速、地政学的な緊張激化の可能性、住宅価格が予想を上回るペースで上昇する脅威などである。
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BOCが政策金利決定を発表した15分後、米供給管理協会（ISM）がサービス業購買担当者景気指数（PMI）を公表した。これが予想を上回る強い結果となったため、米ドル相場を下支えし、その影響は米ドル/カナダドルにも顕著に表れた。
市場ではBOCが予想に反して利上げに動くのではとの見方も出ていたため、利下げという結果はややサプライズとなったが、ここ数日の動きを見てみると、市場は利下げ予想を強めていたようだ。先週水曜時点で16ベーシスポイント（bp）だった利下げ予想幅は、金融政策発表前には20bpまで上昇していた。
失業率は上昇している。第1四半期の国内総生産（GDP）成長率は第4四半期に比べ改善したものの、予想と比較すると期待外れの結果だった。低成長とインフレ低下が失業率の上昇と相まって、BOCは5日の利下げが正当化されると考えたようだ。
資料：Refinitiv、LSEGデータストリーム チャート作成：リチャード・スノー
カナダドル（CAD）の値動き
BOCの利下げ決定を受け、カナダドルは当然のことながらG7（主要7カ国）の大半の通貨に対して下落した。中でも、対米ドルでの下げはきつかった。最近の米経済指標の弱い傾向を打ち消すかのように、BOC決定直後に米サービス業PMIが予想を上回ったことが明らかとなり、カナダドル売りにさらに追い打ちをかけた。
オーストラリアドル/カナダドルは、今週はリスク資産への慎重なアプローチが見られたため、BOC会合でタカ派的な結果が出た場合には興味深い動きが予想されていた。ニュージーランド準備銀行（RBNZ、中央銀行）は最近、すぐに利下げに動く状況にはないと表明しており、BOCのハト派的な結果を受け、ニュージーランドドル/カナダドルの動きが注目されている。
カナダドル通貨ペアの反応（FX）
資料：TradingView、チャート作成：リチャード・スノー
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--- DailyFX.com リチャード・スノー著
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