※2024年6月4日15時40分更新
利下げ実施はほぼ確実とみられている欧州中央銀行（ECB）の金融政策発表を今週6日に控え、市場はユーロ相場の動向に注目している。ユーロ/ドルのポジション状況はここ数週間で改善しており、米経済指標が弱い内容となれば、ユーロの見通しが上向く可能性がある。
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ユーロ/ドル、ユーロ/スイスフランのニュースと分析
- ユーロのポジション状況、米インフレの低下、米金利動向に注目
- ユーロ/ドルにドル安の恩恵。米経済指標が期待外れなら、さらなる上昇も視野に
- スイス中銀総裁のインフレに関する発言がスイスフランを下支え
- このレポートは、チャートパターンと主要なサポートおよびレジスタンスレベルを利用して分析しています。テクニカル分析の詳細については、学習コンテンツをご覧ください。
ECB理事会は記者会見に注目
現時点では、欧州中央銀行（ECB）による25ベーシスポイントの利下げ以外は大きなサプライズとなるだろう。複数のECB役員会メンバーがそのような政策が望ましいと表明しているからだ。欧州経済は、成長が停滞し始めた2022年第4四半期以降、景気浮揚策を必要としてきた。国内総生産（GDP）成長率がゼロまたはゼロに近い状態が複数の四半期にわたって続いたことに、インフレ低下の進展が相まって、ECBにとっては2019年以来初めて利下げを検討する余地ができた。ユーロ圏のインフレ率は4月、予想以上に高水準となり、若干懸念材料となったが、2%に戻ろうとする最近のインフレ低下の流れを脅かすことはなさそうだ。
今週後半に予定される理事会でECBは、96.7%の確率で政策金利を25ベーシスポイント（bp）引き下げるというのが市場予想だ。25bpの利下げはすでに織り込まれており、6日の理事会で市場が注目しているのは、ECBが将来の利下げ見通しとそのタイミングについて何らかのヒントを示すかどうかである。ECB当局者のこれまでの発言からは、利下げプロセスは段階的に実施される可能性が高く、最初の利下げの影響を評価して今後のデータを分析するため、7月は利下げを見送る可能性が高いことがうかがえる。市場は理事会後の記者会見に注目している。
市場のECB利下げ予想
資料：Refinitiv、チャート作成：リチャード・スノー
投機筋はユーロのショートを大幅に減少
米国商品先物取引委員会(CFTC)が毎週発行するCOT（コミットメンツ・オブ・トレーダーズ）レポートによると、ヘッジファンドなどの投機筋はユーロのショートポジションを大きく減らしており、ロングポジションが増え始めているようだ。このようなポジションの変動は、ユーロ相場のさらなる上昇を示唆しているかもしれない。
ユーロ/ドルの値動きとユーロのポジション推移（COTレポート）
資料：CBOE、Refinitiv、チャート作成：リチャード・スノー
ユーロ/ドル、ドル安でさらなる上昇も視野
制限的な金融状況が続き、ディスインフレの進展が再び軌道に乗りつつあるように見える中、米国のエコノミックサプライズ指数は、今後発表されるデータが引き続き弱い内容となる可能性が高いことを示唆している。
今週6日のECBによる利下げがほぼ確実視されているにもかかわらず、米経済指標の軟化がユーロ/ドルを押し上げている。中期的な見通しでは、価格は4月に安値を付けて以来、2.8%上昇している。しかし、5月中旬以降は緩やかな下降傾斜チャネル内を蛇行している。
サポートは、チャネルサポートと1.0800付近に位置する200日単純移動平均線（SMA）にある。上値目処としては、引き続きチャネルレジスタンス、そして1.0942/1.0950が挙げられる。
ユーロ/ドル 日足チャート
資料：TradingView、チャート作成：リチャード・スノー
スイス中銀総裁の発言がスイスフランを下支え
スイス国立銀行（SNB、中央銀行）を9月末に退任する意向を示しているトーマス・ヨルダン総裁は、インフレ上昇リスクについて言及し、インフレの上昇はスイスフラン安に起因する可能性があるとの考えを示した。
ヨルダン総裁の発言はスイスフランの失地回復を促し、ユーロ/スイスフランを押し下げた。SNBは3月に主要中央銀行の中で最初に利下げを実施した。この決定により、弱気への反転を示す「宵の明星」が示現し、フラン安がさらに拡大したが、5月後半には下げ止まったようにみえる。
宵の明星の形成により、ヨルダン総裁発言の前に付けた水準がユーロ/スイスフランの直近の頂点となっている。このため、バイアスは下向きを示しており、最近はチャネルサポートの手前で50日SMAを割り込んだ。当然、この50日SMAが次のサポートとして意識される。その下には0.9694、そして200日 SMAまたは0.9565が控えている。
ユーロ/スイスフラン 日足チャート
資料：TradingView、チャート作成：リチャード・スノー
--- DailyFX.com リチャード・スノー著
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