注目のトレード機会 2023年第4四半期：米ドル/南アフリカランドは売り（ショート）

南アフリカランドは2023年第3四半期を通じて波乱含みの展開となったが、最終的には対米ドルで第3四半期初めとほぼ同水準で取引されている。中央銀行のニュアンスがランドを動かした一方で、世界経済減速への懸念はランドに有利には働かなかった。地域的要因も相まり、第4四半期もこれらのテーマが引き続きランドを支配するだろう。

第4四半期の最高のトレードアイデアをお探しですか？ DailyFXのアナリストとストラテジストによる無料ガイドをダウンロードしてください。

推薦者： Warren Venketas

2024年第2四半期 注目のトレード機会

ガイドを入手

南アフリカのファンダメンタルズ

南アフリカ経済を長年悩ませている電力不足はいくぶん和らぎ、地域の事業活動を改善させている。電力生産とその安定性には不安があるが、エスコム（Eskom、電力会社）がゆっくりとでも改善を続ければランドも恩恵を受ける可能性がある。年初来（下図参照）、この新興国通貨は一覧の下の方にあるが、ファンダメンタルズ要因次第で第4四半期には好転するかもしれない。

世界の為替レート（対米ドル）

出所：トムソン・ロイター、チャート作成：ウォーレン・ベンケタス

第3四半期の米ドル/南アフリカランドの値動きの大半は金利が動かしており、下図は南アフリカ準備銀行(SARB)と米連邦準備制度理事会（FRB）の違いをそれぞれ示している。米ドルに対する南アフリカランドのキャリートレードの魅力につながる水準の点で、SARBが大きくリードしていることが明らかだ。SARBは「今後追加利上げが必要となった場合には、利上げをためらわない」という、FRBと同様の姿勢を示してきた。南アフリカのインフレ率は低下傾向にあるが、原油価格は最近上昇している。このことは、第4四半期には波及効果の点で重要である。

最近の金融政策委員会（MPC）の決定で一つポジティブだったのは、2023年のGDP予測を0.4%から0.7%に上方修正したことだ。南アフリカ経済は外的ショックに対して弱く、それがこの数字に影響を与える可能性はあるが、中国は南アフリカとランドの成功にとって非常に重要である。中国の経済指標は芳しくなく景気刺激策が進行中であるため、南アフリカのような新興国は中国経済が強まり始めるにつれ、その活動が輸出増加につながることを期待している。ただし、南アフリカランドは中国経済と正の相関があるが、相関関係は因果関係を意味するわけではないことに注意が必要だ。

南アフリカと米国の政策金利の比較

出所：Refinitiv、チャート作成：ウォーレン・ベンケタス

第4四半期の米ドル

米国の視点に立てば、米国は連邦公開市場委員会（FOMC）前の利下げ幅を縮小する一方で、高水準の金利をより長期間維持することが分かっている。現在、2024年12月までの累積利下げ幅（下表参照）は以前の約100bpsから60bpsとなり、年内にもう1度利上げという選択肢もある。米国経済は南アフリカ経済よりはるかに力強いため、再びの利上げも（相対的には）消費者にそれほど悪影響を与えないだろう。ランドの強気派にとってリスクは第4四半期にFRBが再び利上げをおこなった場合であり、SARBは南アフリカの弱い経済状況を理由に利上げを見送る可能性がある。とはいえ、両中央銀行が利上げを据え置くという現在の状況が続く場合、より楽観的な中国の力を借りて、ランドは米ドルに対して足元を固めるかもしれない。

FF金利先物

出所：Refinitiv、チャート作成：ウォーレン・ベンケタス

テクニカル分析

米ドル/南アフリカランド 週足チャート

出所：TradingView、チャート作成：ウォーレン・ベンケタス

上の米ドル/南アフリカランドの週足チャートは、レジスタンスラインとなっている中期的なトレンドライン（黒）を上抜けている。この値動きの中で、短期的なパターンが上昇ウェッジ（黒い破線）の形で現れている。ウェッジのサポートは安値の18.7759と一致しており、これを割り込むとランドに有利な下押しを誘発し、心理的節目となる18.5000とその先が見えてくる可能性がある。

重要なレジスタンスレベル：

• 19.1522
• 19.0000

重要なサポートレべル：

• 18.7759/ウェッジのサポートライン
• 18.5000
• 50日移動平均線（黄線）

--- DailyFX.com リサーチチーム ウォーレン・ヴェンケタス著

ヴェンケタス氏に連絡するには、Twitterで @WVenketas までお願いいたします。