※2023年12月19日14時26分更新
2023年は、複数の株価指数がかなり大きく上昇し、多くの人々を驚かせた。2024年にはどんなトレード機会が存在するのだろうか。IGアナリストがWTI原油など相場見通しを語る。
米連邦準備制度理事会（FRB）が相対的にハト派的であることを背景に、米10年債利回りが夏以来の低水準まで低下したことが理由の一つとなり、金先物相場は史上最高値を更新した。中央銀行がその権限を逸脱した行動を取ったり、国内総生産（GDP）成長率の縮小を回避するために利下げを開始しない限り、景気後退リスクが高まることにも留意したい。
IGTVはIGのアナリストであるクリス・ボーチャンプ、アクセル・ルドルフ、ニック・コーリー、リチャード・スノーに話を聞いた。今年の相場全般を振り返った後、議論は2024年の主な注目分野へと移った。株高とその後の調整局面、米ドル安が金の上昇をけん引する可能性、暗号資産（仮想通貨）上昇の可能性、そして暗号資産を伴わないトレードの機会などが話し合われた。
トレードの基礎知識
自分のトレードスタイルを知る
推薦者： ジェレミー・ネイラー
世界の株価指数
2023年はトレードの世界において驚きに満ちた年となった。エヌビディアやマイクロソフト、アップルといった米大手企業銘柄の大幅上昇により、ダウ30種平均株価指数やドイツDAX指数など世界の株価指数は史上最高値を更新した。しかしドル相場は振るわず、米10年債利回りは6月以来の低水準まで落ち込んだ。人々は米連邦準備制度理事会（FRB）が利下げに踏み切ることを期待していたが、大きな関心事として、市場は景気後退を回避できるかどうかに注目した。多くの人々を油断させたジェットコースターのような1年だった。
ナスダック、S&P500、独DAX ：2024年見通し
2024年は明るい見通しが期待されるが、注意を払うことを怠ってはならない。中東情勢の緊迫化など地政学的リスクやインフレの上昇といった事象によって、物事が不安定になる可能性がある。2023年には、ナスダック指数、S&P500種株価指数、ドイツDAX指数など株式市場で成功したトレードがあった。オレンジジュース先物や砂糖も、予想外に上下に振れる場面はあったものの、好調に推移した。
外国為替市場では、市場の予想とFRBの金利に関する発言との食い違いなどで相場が揺れる展開となった。2024年に向けてはドル安が続くと予測されており、多くの市場にとっては安心材料となるだろう。日銀の政策修正によって下落する可能性があるドル/円相場にも注目が集まっている。
英FTSE100：2024年見通し
英FTSE100種株価指数が振るわないのは、主要ハイテク銘柄が含まれていないからだ。機関投資家のフロー（資金の流出入）は弱く、英国の経済と政治に対する不透明感が投資家を遠ざけている面もある。暗号資産と金の相場は上昇の可能性を示しているが、こちらもかなり不安定である。すべては上場投資信託（ETF）承認の行方や景気動向などに左右される。
原油市場：2024年見通し
米先物指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト（WTI）などの原油市場では、景気後退リスクと需要の伸び鈍化が懸念されているが、2024年には供給削減と生産量変更の可能性があり、原油相場の安定化が見込まれている。中国は経済再開への取り組みが振るわず、中国経済は2023年に失速し、デフレが懸念されている。事態がいつ好転するか、中国政府が景気刺激策を講じるかどうかは現状では分からない。
中国株式市場：2024年見通し
ハンセン指数のような中国株式相場は、今後数カ月で下落リスクがさらに高まる可能性がある。全体として、2024年の市場パフォーマンスを予測する際には、慎重に構え、潜在的なリスクを認識することが重要である。
