南アフリカ中銀が金融政策決定会合を開催した。インフレ鈍化が進む中、政策金利を据え置くのか、利下げに転じるのか注目が集まっていた。中銀会合を受けた南アランドの対円での今後の見通しとは
サマリー
- 南ア中銀の会合結果
- 南アフリカの実質金利
- 南アフリカランド（ZAR）の見通し
南アフリカ 金融政策決定会合
南アフリカ中央銀行は、金融政策決定会合を開催し、政策金利を据え置いた。直近のインフレ率は、中銀のインフレ目標の中央値4.5％（前年比）に向かって低下傾向であるものの、財政悪化でインフレが上昇するリスクについて言及しており、インフレに対する警戒感を示した。ブラジルなどの新興国の中央銀行は利下げに転じているが、今回の南ア中銀の決定は、それらの新興国の中銀の一線を画す結果であった。
決定会合の結果を受け、高い政策金利が当面維持されるとの思惑が高まったものの、FOMC（米連邦公開市場委員会）を受けて投資家のリスクセンチメントが悪化する中、南アランドは対ドル、対円で下落した。
南アフリカ実質金利
南アランドの動向に重要な指標として実質金利（名目上の金利からインフレの影響を除いた金利）がある。FRBの金融政策を巡る不透明感が当面の南アランドの重荷になることが予想されるものの、南ア中銀の金融政策決定会合を受け、当面高い実質金利が維持される見込みであることは、ZARのサポート要因になろう。
資料：Trading economicsよりDailyFXが作成。
南アフリカランド/円の見通し
南アフリカランド/円は、日足チャートで、中立パターンである「シンメトリカルトライアングル（対称三角形）」が示現している。RSIも南アランド円のモメンタムが中立であることを示唆する50前後で推移している。
南アフリカの高い実質金利は、ZARのサポート要因であるものの、FRBの金融政策を巡る不透明感が重荷となる中、南アランド円の中立パターン内での推移を見込む。パターンをどちらかにブレイクすると、南アランド円の新たなトレンドへの転換が視野に入る。
ZARJPYが上方ブレイクした場合、2022年6月から2023年5月にかけてのZARJPYの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント61.8％水準8.085レベルへの上昇が視野に入る。一方、ZARJPYがパターンを下方ブレイクした場合、７月7日安値7.432レベルへ下落することを見込む。
ZARJPY日足チャート
資料：Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
