日本の株式市場が上昇ムードに沸き立っている。4日の東京株式市場では日経平均株価が約3か月ぶりに史上最高値を更新。これと同時に東京証券取引所の幅広い上場株式で構成される東証株価指数(TOPIX)も34年半ぶりに記録を塗り替えた。TOPIXは2024年に入り、構成銘柄を絞り込んだ日経平均に対して出遅れが目立っていたが、このところのは値上がりの勢いで日経平均をしのいでいる。ただ、TOPIXの構成銘柄の値動きをみると、値上がり銘柄数が増えているとは言い切れず、日本株全体の底上げが進んでいるわけでもないようだ。
日経平均とTOPIXが同時に最高値を更新
日経平均(N225)の4日の終値は前日比332.89円高の4万0913.65円。3月22日以来の史上最高値更新となった。また、TOPIX(TOPIX)の終値は前日比0.92%高の2898.47。バブル期のピークにあたる1989年12月18日につけた、これまでの高値記録を2884.80を上回った。
TOPIXと日経平均の値動きは長期的には一致しているものの、2024年に入ってからはTOPIXの出遅れが目立っていた。日経平均は2月22日に約34年ぶりの史上最高値更新を果たす一方、TOPIXはこれまで34年前の記録に届かず。3月末段階では、日経平均が2023年末比21%高だったのに対して、TOPIXは17%高どまりだった。
4月以降のTOPIXは日経平均をしのぐ勢い
しかしTOPIXは4月以降の上昇率は4.69%高となり、日経平均の1.35%高を上回っている。4日の終値は2023年末比22%高で、日経平均と同水準だ。TOPIXの構成銘柄数は2140に及び、225銘柄で構成される日経平均と比べて、より広範囲な日本株の動向を映し出す。こうしたTOPIXの史上最高値更新は、日本株全体のムードの盛り上がりを示しているといえる。
裾野の広がりはみられず 値上がり銘柄の割合は3月末から低下
ただ、個別のTOPIX構成銘柄の値動きをみると、株価上昇の裾野の広がりが素直に感じられるわけではない。LSEGのデータによると、TOPIX構成銘柄のうち4日の終値が2023年末比でプラスになっている銘柄は全体の約71%。この割合はTOPIXが2768.62だった3月29日時点の約75%から減っている。
またTOPIXの33業種別指数の2023年末比での騰落率をみると、4日時点で3業種がマイナス。この数も3月29日時点の1業種から多くなっている。全体の3分の1にあたる11業種は3月末以降に指数が値下がりしており、エネルギー価格の上昇を背景に、空運や陸運、紙・パルプの不振が目立つ。また、金利上昇の悪影響が予想される不動産も4月以降に失速している。
個別株での優勝劣敗が進む可能性も
2023年以降の日本株の上昇は日本銀行の金融緩和維持姿勢や円安急進を背景にした海外投資家の買いに支えられてきた側面がある。今後の金融環境の変化次第で、日本株の中での優勝劣敗がより鮮明になっていくことも考えられそうだ。
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