※2024年7月3日15時25分更新
明日4日、投開票される英国の下院総選挙では、労働党が圧倒的勝利を収める可能性が高いと予想されている。この情勢を受け、機関投資家やトレーダーは英ポンドのロングを増やしている。英ポンド/ドルの見通しとは？
（広告）IG証券が日本に初めて導入したノックアウト・オプションなら、リスク限定でFX、世界の株価指数、金や原油などの商品が取引できます！詳しくはこちらまで
英国選挙 - 労働党圧勝の見通し
2024年の選挙で、ブレグジット交渉の終結、新型コロナウイルス感染症パンデミック、インフレの復活を見守った議会が幕を閉じる。5年間で3人の首相を送り出した与党・保守党は、もはや用済みとなった感がある。一方、労働党は2019年の敗北から驚異的な変貌を遂げ、歴史的勝利の頂点にいるように見える。しかし、経済は依然として苦戦を強いられている。税金は高く、消費者は高インフレの重圧を感じており、労働党の政策は限られそうだ。
世論調査は何を示しているのか？
労働党は、リズ・トラス首相の任期終了以降、保守党に対して大きなリードを保ってきた。選挙キャンペーンが始まって以来、そのリードは若干縮まったものの、依然として20ポイント前後のリードを保っている。
大きな話題は、保守党の真のライバルとして改革派が台頭してきたことだ。世論調査では改革派は現在17％前後の投票を獲得しており、多くの選挙区で保守党の得票が抑えられることから労働党が優位に立つ可能性がある。
また、スコットランドで敗北が相次ぎ、次期議会で再び独立の是非を問う住民投票が実施されるリスクが低下しているスコットランドの与党・スコットランド国民党（SNP）の衰退も注目に値する。
資料：Politico EU
最新のYouGov MRP議席予測によると、下院の議席分布は以下のようになりそうだ。
資料：YouGov
英ポンド/ドル：トレーダーのポジションは？
総選挙を前に、機関投資家ファンドとIGの顧客はともに英ポンドのロング・ポジションを増やしている。労働党の明確なリードは、2019年の選挙時のように過半数を占める議席を獲得した政権が誕生し、英国経済の中期的な見通しに自信が持てることを示唆している。これは、マクロン大統領による国民議会の解散総選挙によって政情不安リスクが劇的に高まったフランスとは明らかに対照的である。
1週間先を予測するインプライド・ボラティリティは6%前後で取引されている。変動余地は80pips（ピップス）程度にとどまり、英国総選挙をきっかけとした相場変動は少ないことが予想される。
IG顧客、機関投資家のポジションおよび英ポンド/ドルの動き
資料：YouGov IG/CME
総選挙の想定シナリオ別で見る英ポンドの見通し
労働党圧勝：これは、特に6月の高値1.28ドル近辺から過去1カ月間にわたって下落した後では、英ポンドにとって短期的にプラスとなる可能性が高い。労働党が過半数を占めることは大方織り込み済みで、新政権が英国経済の再生をどのように試みるかが議論の中心となるだろう。注目すべきは、労働党のスターマー党首らがこの話題についてかなり口を閉ざしていることで、彼らの強力なリードに影響を与えかねないネガティブな見出しがメディアに出ることを避けようとしているのは明らかだ。
宙づり議会：「内気なトーリー」（保守党支持者が、世論調査段階では投票の真意を隠す現象。トーリーとは保守党の別称）」と呼ばれる効果が発揮されると、労働党の得票が制限されることになる。労働党が過半数議席を握れなければ、法改正を進めることは難しくなる。その可能性はまだ低いが、少なくとも連立政権が樹立されるまでは、このような結果は英ポンドのボラティリティを高めるだろう。自由民主党が南西部の主要議席で議席を伸ばす可能性が高いことから、労働党と自由民主党の連立政権が速やかに誕生する可能性が高い。
英ポンド/ドル - 2024年年初来からの動き
資料：IG.Com
最新記事や学習コンテンツ、経済指標など、トレードに役立つ情報をＸ（@DailyFXJapan）やYouTube（デイリーFX公式チャンネル）でも配信中。今すぐチェック！
